【ネタバレビュー】『運び屋』クリント・イーストウッドの集大成ともいえる作品

映画レビュー


カールじいさんみたいな口悪ジジイ

主人公、アール・ストーン(クリント・イーストウッド)は仕事一筋の口悪老人で、娘の結婚にも出席せず家族と疎遠です。

集会に行くも嫌われている様子。

事業に失敗して農場も自宅も差し押さえられ、孤独な余生まっしぐら。

仕事と社交に目を向けた彼には、家族の温もりはありません。

ある日、孫娘に会いに行ったら娘(アリソン・イーストウッド)と鉢合わせ、そっぽをむかれます。

演じているのが実の娘であるため、妙にリアルに写ります。

そりゃそうですよね、結婚式にも出てないとなると顔も見たくないと思うのは当然で妻(ダイアン・ウィ―スト)にも発狂寸前の罵倒の嵐!!

お小遣い稼ぎのつもりが・・・

罵倒されてメンツをけちょんけちょんにされたところに男に話しかけられ、違反切符を切られたことのないアールに名刺を渡します。

オレオレ詐欺以上に怪しさムンムンですが、運転だけで稼げるならと安全運転でこなすアール。

てかガレージ着いたときに銃持ってたり、入れ墨入った兄ちゃん居る時点で気づかんもんかねと冷めた感情で見ていました。

ま、気づいていても自宅と農場を差し押さえられた上に家族にも会横断できないとなれば焦りでいっぱいであったのでしょう。

しかし、回数を重ねるうちに孫娘の学費払ってあげたり、知り合いの資金ぐりに困った軍人OB施設に寄付したりと「運び屋」の仕事は怪しいと気づきながら今までの過ちを償うために行動しているように感じました。

何やかんやで、すご腕運び屋に

回数運んでいるうちに、麻薬組織はアールの運び方ににストレスを感じます。結果的にはルートを逸れたり停車したりしてという行動が警察捜査のかく乱に役立っていたのですが相手は組織といえどギャングの集まりですからね。悪い奴らしかいない。

ということで組織は偵察役を付けます。

普通偵察がつくと真面目になるものですが彼に関しては問屋が卸しません。

州イチのポークサンド食べたいからってなかなかの寄り道をしたり、モーテル着いたら女呼んではっちゃけたりと、90歳とは思えないファンキーぶりで少しアールを好きになっちゃう一幕でした。

多分捜査のかく乱になってると思わないでの行動なところも笑いのポイントですね。

捜査官との会話で物語に深みが増す

かく乱になっていても、組織のスパイをつけている捜査官は徐々にアールに近づいていきます。

しかし捜査官は、すご腕運び屋がまさか90のじいさんだと思いもしません。

モーテルでアールと捜査官は会話を交わします。捜査官の結婚記念日を初めて忘れてしまった話にも、運び屋だとしても一人の人間です。自分の失敗談を交えて彼を慰めます。

年の功といいますか、自分の後悔の念といいますか、経験しないと分からない言葉の節々に御年89歳のイーストウッドの風格を感じさせる良シーンです。

運び中に、緊急事態!!

気まぐれな運転でかく乱になっていたものの、警察の目は欺けません。

組織のボス(アンディ・ガシア)が殺されて新しいボスに変わってからルールが厳重になります。次から気まぐれ運転は厳禁だと。

ある回の運び中に、孫娘からおばあちゃんの容体が悪いと知らせが入ります。

寄り道は厳禁だけど、妻の容体がとなると仕事どころではありません。妻の元に赴きます。

妻は呼吸も辛いくらい衰退していました。アールと対面するもあまり嬉しそうではありません。そのくらい関係は冷え切っていたのです。それにもめげずアールは出来る限りそばに居続けます。すると妻から

「あなたは私の人生の中で一番愛した人、それに一番憎くも思えたひと。

でも今そばにいてくれて嬉しいわ。」

このシーンは涙がウルウルで、冷え切った中にも長い年月寄り添いあった夫婦のやりとりに心奪われました。

傍で2人を見守る娘が遠くに写るのですが、安心にもとれる表情にも涙を誘われます。

ついにアールに捜査官の手が・・・

組織のスパイのおかげもあり、とうとう捜査官が彼に近づいていきます。

先に組織に見つかってボコられたアールも陸と空からの追跡についに逮捕されます。

最後にアールへの審判を下す裁判シーンに。

弁護士が話すのもよそに、有罪だと認めるアール。

裁判終わりに家族に「出来るだけ面会に行くわ。」と言われまた涙がウルウルに。

アールは犯罪を犯しました。しかし組織のルールを破ってまで妻の最期を見届け家族との和解に努めた姿を目にした後のこの複雑な感情にさせらせるクリントイーストウッド手腕ともいえるのでしょうか。

まとめ

クリント・イーストウッドの作品は初めてではないのですが、観た家がのタイトルが出てこないほど微かな記憶しかなく、今作を機に他の作品も観たくなる深い映画をつくる監督・俳優なのではないでしょうか。これだから映画は面白い。